蚊が飛んだら眼科受診の合図!飛蚊症(ひぶんしょう)の原因って何?

蚊が飛んでいるかと思ったら、すぐにいなくなったり。
お家の白い壁を見たら糸くずが動いていたり!

みなさんが気になっているその症状は「飛蚊症(ひぶんしょう)」といいます。
病院受診したほうがいいの?
目の中でなにが起きてる?
どうして起こるの?

現役視能訓練士で日々眼科で患者さんの眼の検査をしている私が、みなさんの疑問をできるだけわかり易く解説してみたいと思います。

飛蚊症ってどんな症状?

まずは「飛蚊症」の症状で眼科に来院される患者さんが、問診でどの様な訴え方をするのか見てみましょう。

・蚊が飛んでいる様に見える
(白い壁を見たときに見える、と言う方が多い)
・黒い点が見え、ゆらゆら動いて見える
・髪の毛が垂れ下がっている様に見える
・黒い糸くず様の物が見える

訴え方は様々ですが、みなさんこの様に訴えて来られることが多いです。
追加問診として最低でも以下の5つは聞かれるかもしれません。

・いつから見える様になったか
・どちらの眼で見えるか
・最初に見え始めた時と数や形に変化はあるか
・眼を動かしたらついてくるか

事前にお家で片目ずつ隠して白い壁を見て「どちらの眼」で「およそ何個くらい」「どんな形の物」が見える、などチェックしておくと良いでしょう。

すぐに病院受診した方がいいの?

眼科受診をお勧めします。
次の<飛蚊症の原因>で詳しく触れますが、飛蚊症の原因として考えられるものには、生理的なもの(健康な眼でも起こる)と病的なものがあります。

速やかな眼科受診をお勧めする理由は、あなたのその飛蚊症の症状が、生理的な(健康な眼にも起こる)ものか病的なものか眼科を受診して眼の中をしっかり見てもらわない限り分からないからです。
眼科で「眼底検査」をはじめとする必要な検査をして、生理的飛蚊症なのか、病的飛蚊症なのかをしっかり診断してもらう必要があります。

「放置する前に、放置していい物かどうかを診てもらう」ということです。

最近はネット検索すると、他にも自分と同じ様な症状の人をすぐに見つけることができますよね。
当てはまる症状で病名を自己判断し
「自分と同じ症状のこの人は大丈夫だったみたいだし、自分もきっと大丈夫だわ♩」なんてたかをくくっていると手遅れになるケースもありますから、注意してくださいね!

飛蚊症の原因

眼の仕組み

飛蚊症の起こる原因を理解するために、まずは眼球の構造を知る必要があります。

これは眼球の断面図です。

角膜→水晶体→硝子体(しょうしたい) を通過し、最終的に網膜に映像を映し出すことで私たちは物を見ることができます。

網膜に像が到達する前の硝子体に浮遊物があるとそれが影となり網膜に投影され「飛蚊症」の症状となります。

生理的飛蚊症の原因

正常な眼にも起こる飛蚊症を生理的飛蚊症といいます。
生理的飛蚊症であれば「異常なし。飛蚊症は消えないので上手に付き合っていきましょう」となる場合が多いと思います。

(a)硝子体内の細胞や線維の浮遊物

硝子体内の細胞や線維などの浮遊物が影となり蚊や糸くずが飛んでいる様に見えます。
若い人でも、特に近視の人は飛蚊症を自覚する人が多くいらっしゃいます。

(b)後部硝子体剥離

眼の中の”硝子体”と言う透明なゲル状の物質部分は若いときにはドロドロなのですが、加齢によりサラサラに液体化していく傾向があります。
硝子体が液体化していくことで硝子体全体が少しづつ収縮します。
若い時にはしっかりと膨らんでいた風船(硝子体)が加齢によりだんだん萎んでいくイメージです。
そうすると硝子体が網膜から剥がれてきます。
これを後部硝子体剥離といい、硝子体の後ろ側の膜が網膜に投影され飛蚊症が現れます。

この後部硝子体剥離が起きる際、硝子体が綺麗に網膜から剥がれると全く問題はないのですが、網膜が薄かったり硝子体と網膜の癒着が強かったりすると網膜剥離や網膜裂孔の原因となってしまいます。
網膜剥離や網膜裂孔は場所によっては視力が急激に低下したり手術が必要になる場合もありますし、重篤な状態になる前に飛蚊症が症状として現れることもあります。

病的飛蚊症

何らかの病変により起こる飛蚊症を病的飛蚊症といいます。

ぶどう膜炎、網膜裂孔、網膜剥離の前駆症状、硝子体出血 などにより飛蚊症を感じます。
これらの病気は眼科受診が遅れると失明しかねない病気です。
逆に言えば、早期に眼科受診をし早急に手術やしかるべき処置を取れば手術技術も上がってきている現在は視力を回復できる確率も上がってきています。

まとめ

今回は「飛蚊症」についてまとめました。
・蚊や糸くずが飛んでいる様に見える症状を飛蚊症といいます。
・飛蚊症の原因には生理的なもの(健康な眼にも起こる)と病的なものがあり、眼科受診をして詳しい検査(眼底検査など)をしなければ判断が難しいため、早めに眼科受診をする必要があります。
・眼の変化が片目に起きたとしても、もう片眼がよく見えていると気づきにくいものです。
 定期的に眼科へ行きチェックを受けあなたの大切な目を守りましょう!

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